試作クラシックバギー
私のInstagramをご覧の方はご存じかもしれませんが、2022年の秋頃から細々とクラシックバギーを設計しては試作していました。シャーシでの走行には成功していましたが、2023年の2月頃にタミヤがBBXを発表すると、一気にやる気が失せてそのまま放置してしまっています。供養と忘備録の意味合いも込めてこれを紹介しようと思います。
スケール感を損なわない、2シーターのリア2WDクラシックバギーというコンセプトで製作しました。ボディーはパネルとケージで構成される形式を想定していました。
モーターとギア、シャフト類はタミヤ DT-02のものを流用しましたが、ギアボックス自体は取り付け方式などの点から新規に設計し、FDM方式の3Dプリンタで出力しています。樹脂はすべて強度の面からPETGを用いています。
フロントは標準的なWウィッシュボーンとし、ストローク量は普通ですがグランドクリアランスを大きく設定しています。クラシックバギーらしい見た目にしたいため、トレッドは控えめにしてあります。ステアリングはワイパーにする余地を持たせつつ、設計が楽な直結構造としました。
リアはクラシックバギーらしいセミトレーリングアームとしました。下反角は0°、後退角は35°としました。RCのクラシックバギーではフルトレーリングアームが使われることが多いのですが、フルトレーリングアームは独立懸架としての効果が薄いというのが実車での常識です。セミトレーリングアームとしてストローク時にキャンバ角が得られるようにした方がクラシックバギーとしてのスタイリング面でも、性能面でも利点があるように思われます。
しかしながらこのトレーリングアームという形式は、実車ではピボット部の剛性などが問題になるためサブアームが追加されていき、様々な検討がなされた結果、最終的にはマルチリンク式に落ち着いたわけですが(性能面以外の理由ももちろんある)、実車で生じる問題はスケールと重量の関係からRCカーではほぼ問題になりません。しかし、キャンバ角など各部の調整をオンサイト可能にしようとするとサブアームを複数設ける必要があり、機構的に複雑になってしまいます。実車と違い後部に居住スペースやトランクルームを設ける必要のない、競技用のRCカーが調整のしやすいWウィッシュボーン(台形アームなので厳密ではないですが)に落ち着いたのは必然ともいえるでしょう。
従って、現代のRCカーでトレーリングアームを採用する機構的、性能的理由はおそらく皆無です。しかしながら、トレーリングアームの利点の一つである、後部スペースを確保できるという点では、純粋に美しい車両を作れるのもまた確かです。
このようにサスペンション形式がセミトレーリングアームになったため、メインシャーシはピボット部までしかありません。シャーシ後部から延びる4本のアルミパイプで構成されたオーバーハングにギアボックスとモータを懸架する構造になっています。シャーシ後部のショックタワーは左右で連絡し、ここにリアショックを連結しています。あまり高くするとスケール感を損なうことから、タミヤ CVAダンパーミニを用い、ショック長75mmで設計しました。
シャーシ形状は現代的なバスタブ型を3枚のプレートで構成しています。左右の張り出しは3Dプリントしたパーツトレーです。バッテリは中央部に搭載します。
今回、各部を別々にモジュールとして設計し、シャーシで柔軟に接続する(行き当たりばったりともいう)方式で設計したため、かなりぎこちない形態になってしまっています。
シャーシ自体での走行性能は想定したよりも十分で、特にリア駆動二駆バギーのナロートレッドにもかかわらず、シャープなコーナリングが可能となりました。
この一次試作車はあくまで技術的に走行可能かどうかを見るためのもので、これを叩き台に新規に二次試作を行う予定でしたが、タミヤがクラシックバギーを作ってくれるなら(BBX)自分で作る必要はない、おそらくこのバギーはこれ以上完成に近づくことはないでしょう。あるいは、何か気が向いたら二次試作を行うかもしれません。
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